口内環境の基礎知識とは?

人によって重要な口内環境

人であれば必ず持っている“口”。あまりにも当たり前すぎて、この部位の重要性を軽視している人も多くいるようです。

特に口の中、『口内』は、人にとって非常に重要な場所。例えば、内臓などに何らかの悪い症状が出れば、それが口内環境にも現れてくることがありますし、口内環境が悪化すれば、それが内臓やその他の部位にも悪い影響を与え、病気に繋がることもあるのです。

食事をするための口は、言わば、栄養を体内に運ぶためのスタート地点。そこに問題があれば、当然、体内にも悪影響が及んでしまうでしょう。
また、汚れた空気の影響が真っ先に及ぶのもこの部位です。口内環境を清潔に保つための菌が常に存在しているのですが、そのバランスがひとたび崩れれば口内に悪影響を及ぼし、虫歯や歯周病、そこから派生するあらゆる病気に繋がる恐れが出てきてしまうのです。

口の中には何がある?

口や口の中(口腔)には何が存在し、それらがどんな働きをしているのかを改めて頭に入れておきましょう。

口の中には、舌や歯、歯肉、唾液腺などが存在しています。口そのものは、例えば上顎や下顎、頬などで作られ、これらは筋肉や関節などによって動く仕組みになっています。

ものを食べる時には、それを歯で切り刻み、あるいは細かく潰し、消化器を通じて体内へと取り込んでいきます。この咀嚼の作業は、栄養素を摂りやすくするとともに、消化を助ける働きを担っています。

咀嚼の際に分泌される唾液、これは『嚥下』と呼ばれる、消化器官へと送るために必要なもの。
また、舌があまり滑らかになっていないのは、乳頭と呼ばれる細かな突起があるからで、ここに存在する細胞が、食べたものの味覚を感じるために役立っています。

口が担っている役割とは

説明したように、口は消化器官へと続く、そのスタートに位置する器官。ただ口の中に食べ物を入れれば、それで消化器官へと続いていくわけではありません。

口に入れたものを小さくする歯があり、時に身の危険を回避するために味を判別する役割を持つ舌、そして、人が生きていくために必要な空気を取り入れてくれる役割を口そのものが持つなど、口が担っている役割というのは、非常に大きいものなのです。

さらに、コミュニケーションには欠かせない会話にも口は必要ですし、笑ったり歌ったりなど、感情を表に出すためにも一役買ってくれる口は、それだけでも非常に重要な器官であることがわかると思います。

細菌で満たされている口の中

成人の口の中には、1000億から2000億にものぼる細菌がいると言われており、歯磨きを怠っているなど不潔な口内環境となっている人の口の中には、6000億以上、人によっては1兆にも及ぶ細菌が存在していると言われています。

実はこの口内細菌の数は、肛門に匹敵する、いや、それ以上であることもわかっています。
誰しも、口の中にはたくさんの細菌を抱えているのです。

700種を超える口内細菌

それだけの数の口内細菌は、すべて同じ種類というわけではありません。実に700を超えるほどの種類の細菌が口内には存在していると言われ、それが原因で虫歯や、歯槽膿漏などを含む歯周病になることもあるのです。

人の腸内には善玉菌と悪玉菌があるという話は聞いたことがあるかもしれません。これは口内にも当てはまること。
口の中を清潔に保つための役割を果たしてくれているのが善玉菌であり、逆に、口の中や体内に悪影響を及ぼす可能性のある菌を悪玉菌と呼んでいます。
悪玉菌には、例えば虫歯菌や歯周病菌などがあり、他にも、緑膿菌やカンジタ菌、黄色ブドウ球菌などがあります。
悪玉菌が優位になれば、それによって免疫力が落ち、結果、病気の発生リスクが高まってしまうのです。

唾液の成分と働き

食べたものなどを消化する働きを持つ唾液。唾液腺(顎下腺と舌下腺)と呼ばれる器官から、唾液は分泌されます。
口に入れたものを柔らかくする働きを担っているのですが、これには、体内に取り入れたくない細菌を口の中にある段階で溶かす作用もあります。

水、電解質、リゾチーム、唾液アミラーゼ、ムチン、抗体(IgA)などが、主な唾液の成分。
唾液アミラーゼとリゾチームは酵素の一種であり、それぞれ炭水化物と微生物を分解する働きを持っており、これらの成分が消化の働きを助け、また、病気の原因となる細菌を分解してくれているのです。

これによって口内を清潔にすることができれば、虫歯や歯周病などを防ぐことができるというわけです。

病気になりかねない唾液の減少

このような働きをしてくれている唾液がもし減少すれば、それは、口内環境の悪化へと直結します。
悪玉菌が優位となり、細菌を分解してくれる唾液の量も減るわけですから、虫歯や歯周病といった、治療が必要な病気になってしまうでしょう。口臭の原因のひとつも、唾液の減少にあると言われています。

また、唾液の量が減ることで食べ物が柔らかくなりづらくなり、それによってうまく飲み込めない、味がよくわからないといった弊害が出る恐れもあります。

健康を保つためには口内環境から

排気ガスやホコリ、その他化学物質なども含め、あらゆる細菌や有害物質が飛び込んでくる口。常に存在している口内細菌の役割もあり、免疫力を下げることなく体を守ってくれているのは説明した通りです。

しかし、口内環境のバランスが崩れれば、それはすぐさまさまざまな病気へとつながる恐れも。それだけ口内環境を整えておくことは大切なことなのです。

将来、健康な体を維持するためにも、今から口内環境へ強い関心を持っておくことは無駄ではないのかもしれません。

『全身の健康は歯の健康から』という言葉を意識し、日頃の生活を見直してみましょう。